2020年5月25日

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黒ナンバー とは何?

最近、新型コロナウィルスの影響による、運送業界の需要落ち込みが、顕著に目につく2020年ですね。

 

そんな中でも、コロナ不況に強い立ち位置になっているのが、低資金でも1人から始めることが出来る運送業。「軽貨物」運送業の「黒ナンバー」車です。

 

正式な呼び名は、「貨物軽自動車運送事業」ですが、「軽貨物」とよく呼ばれていますよね。

 

最近は、外出禁止令ならぬ緊急事態宣言などが発令されていたりすることもあり、ECサイトからの通販商品購入量が著しい増加をみせており、個配の需要が半端ないと耳にしています。


 

 

軽貨物とは

一般貨物の緑ナンバーに比べ、参入が比較的容易な運送事業と言えます。

この「軽貨物」に関しては、国土交通省運輸局の各支局にて許可を申請し、有効な「連絡書」を発行して貰わないと、ナンバーを貰えないので始めることはできません。

 

また、所轄の陸運支局へいきなり行っても

「事業用」車のナンバープレート、つまり「黒ナンバー」を発行して貰えないのは、「緑ナンバー」の一般貨物自動車運送事業の「事業用」自動車と同じです。

 

しかし、「黒ナンバー(軽貨物)」と「緑ナンバー(一般貨物)」の違いは、その許可がおりるまでのプロセスが全然ちがうのです。


 

許可が下りるまでの時間

「一般貨物自動車運送事業」の場合は、申請までの要件を揃えるまで、数ヶ月掛かります(経験上)。

申請→許可の取得。更に、運輸開始までの時間を考えると、凡そ6ヶ月~ながくて1年程度は掛かると思います。

 

しかし

軽貨物の場合は、書類を揃えて持参すれば、許可まで「15分」程度。

黒ナンバープレートの発行まで、半日といったところでしょうか。

 

これは

正直いって、あまりのその大きな差に、窓口で許可を取得出来たハンコを押印して下さる姿をみた瞬間に、苦笑いが出るほどでした。

 

 

黒ナンバーで出来る仕事は?


軽貨物の業務内容は、貨物自動車運送事業法の第2条で定義されています。
読み解くと、依頼主となる所謂荷主さんから運賃を頂き、「軽貨物」自動車または「125cc以上のバイク」で運送を依頼された「荷物(貨物)」を運ぶ業務を執り行うこと、となります。

管轄する地方運輸支局と税務署で許可をもらうことができれば、従業員を雇わずしても1人だけでも営業行為を行うことができるのが最大の魅力です。


さらに「許可のとりやすさ」に加えて「税金の安さ」なども魅力の事業ですが、逆に言えば参入が非常に容易なため、競争もそれなりにある業界かとも言えます。

 

軽貨物と一般貨物自動車運送事業の相違点


一般貨物自動車運送事業と黒ナンバー(貨物自動車運送事業)は、「顧客から運賃をもらって貨物を運ぶ」という点では変わりはありません。

一般貨物自動車運送事業で使用するのは、軽貨物自動車・125CC以上のバイク「以外」の貨物自動車です。ですので、軽自動車を除く貨物車という意味では、軽貨物の方が 狭い範囲でしか行うことは出来ません。

 

「黒ナンバー」と「緑ナンバー」とは、あくまでも運送事業という意味では同じでも、「何を使って貨物を運ぶのか」が、大きく違います。
どちらも事業を開始する際には許可が必要ですし、許可を受ける先も、運輸局で同じです。

 

しかし、「一般貨物自動車運送事業」の方が、参入のハードルは100倍くらい高い印象です。

 

さらに、1営業所につき5台以上のトラックと、台数以上の運転者の確保。さらには運行管理者も必要です。

営業所や休憩睡眠するスペース、大きめの車庫、資金、運行/整備管理者を周到に準備していかなくてはなりません。
「軽貨物」でも同様のものが必要かと思われますが、実際の申請には裏付けの書類は要らないのです。

許可にかかる期間平均6カ月と言われていますが、実際には役員の法令試験なども通過しないといけないので、「申請」してスムーズに進んだ場合の話です。

一方、黒ナンバーは1人からでもスタートでき、申請から許可取得まで、窓口での応対だけの1回で済み、その後黒ナンバーを発行してもらうまでには半日も掛からないです。

 

 

黒ナンバー取得のメリット・デメリットとは?


「軽貨物」を始めることのメリットですが

ミーハーな話ですが、黒いナンバープレートをつけれるので、はっきり言って車の見た目印象が、かなりUPします。

ファッショナブルで何よりカッコいいです。


 

では、この軽貨物の許可のメリットをご説明します。

 

1点目は 、時間の早さです。

一般貨物自動車運送事業が開業の許可を得るまでに、4ヶ月~半年以上かかることを考えると、短期間で始めることができるのが分かります。

 

2点目は、取得費用が緑ナンバーに比べた場合の劇的な安さです。

「一般貨物自動車運送事業」の許可の際に国に収める登録免許税12万円がかからないことです。

 

3点目は、1人から開業できることです。

多くの人を抱えることが出来ない資金に余裕がない、開業まもない方や法人事業者であっても、少人数からスタート出来ることは、何にも代え難い側面があるかと思います。

 

一般貨物運送事業の緑ナンバーですと、この人の時点で、常任運転者5名以上を雇用しないといけないので、一気にハードルが高くなります。

また緑ナンバーの場合は、貨物車5台以上。当然、それにまつわる車庫や事務所等々。。。

これらをキープする必要がないので、ものすごく精神的にも楽だと言えます。

 

4点目は、自動車税重量税が、自家用車よりも「事業用」の方が掛からないことです。つまり安く済みます。

 

5点目は、整備する設備と人件費が掛からない。つまり経費が圧縮出来ることから、努力次第で小さな車体でも「一般貨物自動車」以上に大きく稼ぐことが可能であるということです。

1カ月平均30万~50万円の売上が見込めますし、業務委託を受けて仕事をすれば、更に上積みも可能なようです。しかし、経費等は自己負担になることが多いので、丸々利益とはならないかと思いますが、それでも魅力が多い業種ではないでしょうか?

 

デメリットは?


一方で、デメリットもあります。
黒ナンバー車と言っても、顧客から直接依頼をいただける程の人脈がない人が殆どでしょうから、どこかしらかの軽貨物運送会社の仕事を、「業務委託」などで請け負う形になる場合が多いと思います。

その場合、手数料などが発生してしまうこと。

さらに大手の軽貨物運送事業者の看板をつける場合には、ロイヤリティも発生します。

 

そしてもう1点は、自家用車よりも自動車に掛ける任意保険料が、かなり割高なことです。

コレは事業用として使う以上は、避けれないところではあります。

 

安価な通販型の自動車保険は加入できないので、一般的には1.5万円前後の任意保険料は、それなりの費用にも感じますが、
乗務時間や稼働時間が長いため、自家用でつかう車両よりも事故の確率が高くなってしまうことから、保険料も高くなってしまうのは避けれないところです。


 

黒ナンバーで開業する方法のまとめ


開業するには許可が必要です。

そこで所轄の運輸支局に「事業の届出」をします。

 

一番最初に、営業所や車両を用意します。

これは自宅+駐車場などでも大丈夫です。

 

次に営業所を管轄する地方運輸支局の輸送担当の窓口に出向きます。

「貨物軽自動車運送事業経営届出書」「運賃価格表」「運賃料金設定届出書」「車検証のコピー」「事業用自動車等連絡書」を提出します。ここで車検切れのまま或いは自分に名義が変わっていない車両であっても、そこは問題になりません。

運送約款は提出の必要はありません。

 

記載した書類に問題がなければ、運輸支局の輸送担当の窓口で「事業用自動車等連絡書」に受領印を押してもらえます。

 

この「事業用自動車等連絡書」を持って、軽自動車検査協会で「自家用」→「事業用」として黒ナンバーへ変更の手続きをすれば、事業をスタートさせることができます。


 

手続きには、「住民票」または「印鑑証明」も必要ですので、お忘れなく!

また、税務署や市町村への個人事業者としての開業届、自動車任意保険の加入も、忘れないようにやっておきましょう。

アマゾンフレックスなど、個人事業主を対象とした、比較的自由な形態での雇用?が、最近流行っています。

荷物がなくて嘆く前に、こういった個人事業主としても働ける強みのある「軽貨物」に、チャレンジしてみるのも、とても良いと思います。


 

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